ドラマ「チェリまほ」について

2020年11月から「チェリまほ」にはまっている。2020年11月はじめ、たまたま1巻無料の電子書籍を読んでハマってしまい、翌日には当時出ていた5巻までを全部購入した。購入ページをよく見ると、「ドラマ化決定!赤楚衛二、町田啓太」と書いてあった。ドラマ化のために1巻が無料になっていたのだ。「町田啓太のBL!!」。当時の私にとっては町田さんと言えば西郷どん小松帯刀で、「この人凛々しくて時代劇めちゃくちゃ似合う!」と思っていた。まさか町田啓太のBLが見られるなんて。
ドラマを見てまず思ったのは、「黒沢の再現度高すぎ!」、「ベストめっちゃ似合う!」。原作でよく出てきた「顔が良すぎる」というのはこういうことなのか。そして心の声がとてもいい。何て穏やかで優しい話し方なのだろう。
原作の黒沢とドラマの黒沢は少し違っていて、原作では時々理性と本能が喧嘩したりしていたけれど(最終的にはたいがい理性が勝つ)、ドラマでは理性が勝った後の声だけが私たちに届いていた。原作では1年くらいだった片思い期間が、ドラマでは7年(!!)になっており、いろいろ拗らせすぎたのか、もはや聖人のようになっていて、そこも素晴らしく演じてくれていたのだが、時々、「あ、この顔、原作でもしていた」と思う時があった。町田さんの中には確かに原作の黒沢がいた。ドラマの中で見せた、原作読者が「黒沢ならやりそう」という仕草のうちのいくつかは、町田さんの発案だと聞いた(黒沢なら安達が卵焼きは甘い派と知っているはず、黒沢なら安達の蝶ネクタイが見たいはず、、、等)。インタビューで町田さんは、「まず原作を読んだ。それから台本を読んだ」と言っていた。私たち読者が原作を読んで感じたことを町田さんも感じてくれたのだろう。こういうのって気持ちが通じたみたいでとても嬉しくなる。原作者も嬉しかっただろうと思う。
赤楚君はこのドラマで初めて知る俳優で、最初は「ちょっと若すぎるし、かわいすぎるのでは」と思ったが、見れば見るほどどんどんハマっていった。何というか反応がフレッシュでとてもいい。9話でコンペへの参加を決めた安達を黒沢が抱きしめる場面があり(通称ユラユラハグ)、その場面があまりにも幸せだったのだが、赤楚君はこの時、「お芝居を超えて、安達としてコンペ頑張ろうと本気で思ったし、あらためて黒沢のこと好きだなと思った」と雑誌のインタビューで語っていた。それは町田君にも伝わって、視聴者にも伝わった。気持ちって通じるんだなって嬉しくなる。
また、このインタビュー(安達を演じている時とそうでない時のギャップがすごい(モサいのはすべて演技!)、
lp.p.pia.jp

前提として、僕は男女であっても恋愛と友情は軸が別だと考えていているんですね。それが男性同士となると余計に友情の延長線上に恋愛はないと思ったので、どうやって黒沢への気持ちが恋愛に発展していくんだろうということにずっと悩んでいました。
でも実際に演じてみたら、心にふれてみたり、黒沢が少し笑ってくれたり、一緒にいる時間が楽しかったり。そういう小さなことがひとつずつ積み重なっていくことで愛が生まれていくんだなと実感できたというか。

これはまさに安達と同じことを体験したといえるのではないか。
ドラマでは思い出が積み重なって愛が生まれる過程が丁寧に描かれており、めちゃくちゃ感情移入してみていたので、11話は本当に辛かった。10話まではTverで毎日見返していたが、11話は12話直前の1回しか見返せなかった。日帰り出張に行くというのに、OPに出てきた弁当を作ってきて、夜にはあんなに豪華なディナーを用意して。安達が魔法について悩むのも理解はできたのだが、黒沢が可哀想すぎて。そして12話はその傷をうめるには駆け足すぎたように思う。柘植のアドバイスも藤崎さんの後押しも花火も感動的だったのだけれども、安達には自分から走り出して欲しかった。これまでゆっくりじっくり描いてくれていたのに、最後だけが駆け足だった。こういう風に思ってしまうのは、きっとそれまでの完成度が高すぎて、これ以上ないくらいに登場人物(特に黒沢)に感情移入してしまって、ハードルも上がりまくっていたからだと思う。
という感じでドラマにハマっているが、原作にも同じくらいハマっている。ドラマと原作は少し違っているのだが、それはそれで1粒で2度おいしいと感じる。「チェリまほ」の1巻を初めて読んだのは誕生日の前日だった。私にとって最高の誕生日プレゼントだった。それから半年近くこのことばかり考えている。この気持ちは何なのであろうかと思う。